2021-01-01から1年間の記事一覧

年間第14主日・B年(2021.7.4)

「人々の不信仰に驚かれた」 強情な人々のもとにわたしはあなたを遣わす(エゼキエル2.4参照) まず、初めに今日の第一朗読のエゼキエル書の時代背景を、振り返って見ましょう。 実は、預言者エゼキエルが、活躍したのは、王国時代が始まって、三代目のソロ…

年間第13主日・B年(2021.6.27)

「あなたの信仰があなたを救った」 生かすためにこそ神は万物を造られた(知恵1.14参照) 初めに、今日の第一朗読ですが、智恵文学に属する『知恵の書』の1章と2章からの抜粋であります。 この知恵の書は、紀元前1世紀頃、北アフリカにある学問都市アレクサ…

年間第12主日・B年(2021.6.20)

「まだ、信じないのか」 わたしは裸で母の胎を出た。また裸でそこに帰ろう。主は与え、主は奪う(ヨブ1.21参照) まず、初めに今日の第一朗読ですが、恐らく紀元前3世紀から4世紀にかけて編集された智恵文学の代表作ヨブ記の38章からの抜粋であります。 この…

年間第11主日・B年(2021.6.13)

「神の国の完成を目指して」 レバノンの杉のように(エゼキエル17.22参照) 早速、今日の第一朗読を、振り返って見ましょう。 実は、南のユダ王国の都エルサレムが、当時のオリエント世界で台頭した新バビロニア帝国によって、紀元前587年に徹底的に破壊され…

御体と御血の祭日・B年(2021.6.6)

「これはわたしの体、これは契約の血である」 過越祭について(出エジプト12.1-13参照) 先ず初めに、今日の祭日の意義を明らかにするための、大切なキーワードの一つである過越祭の由来を、振り返って見ましょう。 実は、今日の第一朗読は、出エジプト記の2…

三位一体の主日・B年(2021.5.30)

父と子と聖霊の名によって洗礼を授ける 今日の福音すなわちマタイによる福音書は、伝統的に十二使徒の一人であるマタイによって編集されたと伝えられて来ましたが、今日(こんにち)では、無名の編集者によって、西暦80年代にシリアのアンティオキアで編集され…

聖霊降臨の主日・B年(2021.5.23)

「一同は聖霊に満たされて ほかの国々の言葉で話し出した」 わたしたちの言葉で神の偉大な業を語っている(使徒言行録2.11参照) 復活の主日から、今日までの50日間を、「大いなる主日」として祝い続けてきました。この復活節の50日間は本日の聖霊降臨の主日…

主の昇天・B年(2021.5.16)

「なぜ天を見上げて立っているのか」 地の果てに至るまでわたしの証人となる(使徒1.8参照) 最初に、主の昇天の祭日の由来を、振り返って見ましょう。 ちなみに、初期キリスト教においては、「キリスト昇天」の特別な祝日は存在してなく、むしろキリストの…

復活節第6主日・B年(2021.5.9)

「出かけて行って実を結ぶように任命した」 み言葉を聞いている一同の上に聖霊が降った(使徒言行録10.44参照) 今日の第一朗読の使徒言行録ですが、福音記者ルカは、まず、マルコ福音書を下敷きにして、独自の資料を加えた福音書を、西暦70年から80年にかけ…

復活節第5主日・B年(2021.5.2)

「わたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、豊かな実を結ぶ」 聖霊の慰めを受け基礎が固まって発展し(使徒言行録9.31参照) 聖霊降臨によって誕生したエルサレムの教会に、復活のイエスから直接、異邦人の使徒になる召命を受けた使徒パ…

復活節第4主日・B年(2021.4.25)

「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」 主は羊飼い(詩編23.1参照) ちなみに、初代教会のキリスト者の心をとらえたのは、まさに良い羊飼いの姿をしたイエスでした。キリスト教徒を迫害していたローマ皇帝のコンスタンティヌス大帝が313年にキリスト教公認の…

復活節第3主日・B年(2021.4.18)

「あなたがたはこれらのことの証人となる」 わたしたちは復活の証人です(使徒言行録3.15参照) 早速、今日の第1朗読ですが、福音記者ルカが、その福音書に続く初代教会の歴史を編集した使徒言行録の3章からの抜粋であります。 ちなみに、この言行録で、前半…

復活節第2主日・B年(神のいつくしみの主日:2021.4.11)

「父がわたしをお遣わしになったように わたしもあなたがたを遣わす」 主イエスの復活を証しし神の恵みが一同に豊かに注がれた(使徒言行録4.33参照) 早速、今日の第一朗読ですが、復活の恵みによって生き方を根本的に変えられたキリスト者の初期の信仰共同…

復活の主日・B年(2021.4.4)

「もう一人の弟子も入って来て見て信じた」 神はイエスを三日目に復活させ(使徒言行録10.40参照) 早速、今日の第一朗読ですが、福音記者ルカは、第一巻つまり福音書で、イエスの誕生からエルサレムで天に上げられるまでの出来事を語り、第二巻つまり使徒言…

受難の主日(枝の主日)B年(2021.3.28)

「マルコによる主イエス・キリストの受難」 ピラトの前での裁判―王であるイエス(マルコ15.1-20a参照) A 尋問「お前がユダヤ人の王なのか」(同上15.1-5参照) 最高法院の前での裁判からローマ人が登場するクライマックスの場面へと、出来事の進むペースが…

四旬節第5主日・B年(2021.3.21)

「地上から上げられるとき すべての人を自分のもとへ引き寄せよう」 新しい契約を結ぶ日が来る(エレミヤ31.31参照) 早速、今日の第一朗読ですが、紀元前7世紀から6世紀にかけてユダ王国で活躍した預言者エレミヤが、捕囚民に向かって捕囚からの解放と祖国…

四旬節第4主日・B年(2021.3.14)

「独り子を信じる者が 永遠のいのちを得るために」 神なる主が共にいてくださるように(歴代誌36.23参照) 今日(きょう)の「ことばの典礼」において、まさに神の救いの歴史の壮大なドラマの筋書きが示されていると言えましょう。 では、早速、第一朗読によっ…

四旬節第3主日・B年(2021.3.7)

「イエスの言われる神殿とは ご自分の体のことだった」 いかなる像も造ってはならない(出エジプト20.4a参照) 早速、今日の第一朗読ですが、出エジプト記が伝える主なる神が、シナイ山でモーセに十の掟(おきて)を授ける場面であります。 それは、旧約聖書が…

四旬節第2主日・B年(2021.2.28)

「これはわたしの愛する子 これに聞け」 自分の独り子ですら惜しまなかった(創世記22.16c参照) 早速、今日の第一朗読ですが、創世記が伝えるアブラハムの人生における最大の試練の感動的な体験記であります。 このアブラハムこそ、信仰の父として救いの歴…

四旬節第1主日・B年(2021.2.21)

「回心して福音を生きる」 契約に心を留める主なる神(創世記9.15参照) 早速、今日の第一朗読ですが、創世記が語る洪水物語のテーマである虹の契約についての説明の場面であります。地球上に広がっていた人間の悪を滅ぼす大洪水の只中(ただなか)、神の救い…

年間第6主日・B年(2021.2.14)

「深く憐れんで手を差し伸べてその人に触れ」 生涯食べ物を得ようと苦しむ(創世記3.17d参照) 初めに今日の「ことばの典礼」のテーマを、あえて設定するならば、「神の救いの歴史は、神の深い憐れみによって実現する」と総括できるのではないでしょうか。 …

年間第5主日・B年(2021.2.7)

「宣教するために出てきた」 忘れないでください わたしの命は風に過ぎないことを(ヨブ記7.7参照) 早速、今日の第一朗読ですが、旧約聖書にある知恵文学に属するヨブ記の7章からの抜粋であります。 ちなみに、知恵文学ですが、捕囚時代(紀元前6世紀)の後…

年間第4主日・B年/世界こども助け合いの日(2021.1.31)

「権威ある新しい教えだ」 預言者を立ててその口にわたしの言葉を授ける(申命記18.18参照) 早速、今日の第一朗読ですが、モーセの最後の説教と勧告の形式に編集された申命記の18章からの抜粋であります。恐らく、紀元前6世紀頃つまり捕囚時代に最終的な編…

年間第3主日・B年「神のことばの主日」(2021.1.24)

「回心して福音を信じなさい」 わたしがお前に語ることばを告げよ(ヨナ3.1参照) 2019年9月30日、教皇フランシスコは、その使徒的書簡『Aperuit illis』によって、本日つまり年間第3主日を、「神のことばの主日」として「神のことばを祝い、学び、広めるこ…

年間第2主日・B年(2021.1.17)  

「わたしたちはメシアに出会った」 主よ、お話しください 僕 (しもべ)は聞いております(サムエル記上3.9参照) 早速、今日の第1朗読ですが、旧約聖書の歴史書に属するサムエル記上の3章からの抜粋であります。 このサムエル記ですが、上下に分けられていま…

主の洗礼・B年(2021.1.10)

「あなたはわたしの愛する子わたしの心に適う者」 聞き従って魂にいのちを得よ(イザヤ55.3参照) 教会は、典礼歴に従い、主の降誕を、降誕節として十八日間にわたって祝い本日(ほんじつ)の主の洗礼の祝日によって締めくくります。 それでは、早速、今日(き…

主の公現(2021.1.3)

「王たちは射し出でるその輝きに向かって歩む」 あなたを照らす光は昇り、主の栄光はあなたの上に輝く(イザヤ60.1参照) まず、初めに今日(きょう)の祭日の由来を、振り返って見ましょう。 実は、西方教会では、今日のマタイ福音書に基づいて東方の占星術(…