復活節第6主日・A年(2014.5.25)

「父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと 一緒にいるようにしてくださる」

 

神の霊の息吹
 今日の福音も、イエスが弟子たちと決定的な別れを目前にして切々と語られた決別説教を伝えております。

 そこで、イエスは約束をなさいました。

「わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒に いるようにしてくださる。この方は、真理の霊である。」 明らかに、聖霊をわたしたちに注いでくださることにほかなりません。ですから、復活 させられた日の夕方、弟子たちの真ん中に来られたイエスは、早速彼らに息を吹きかけて宣言なさいました。

「聖霊を受けなさい。」(ヨハネ 20.22)

ですから、わたしたちも、洗礼を受けたとき、聖霊を注がれたのです。 司式司祭は、洗礼式で受洗志願者の頭に三回水を注ぎながら宣言します。

「わたしは

父と

子と

聖霊の み名によって、

あなたに洗礼を授けます。」

 続いて、聖香油を受洗者の 額(ひたい )に塗りながら、次のように祈ります。

「わたしたちの主イエス・キリストの父、全能の神は、あなたを罪から解放し、水と聖 霊によって新しい いのちを与えてくださいました。 神の民に加えられた あなたは、神ご自身から救いの香油を注がれて、大祭司、預言者、 王であるキリストに結ばれ、その使命に生きるものとなります。」

 ちなみに、旧約聖書には、聖霊ということばは、使われていませんが、聖霊の働きが、 その時その時の大切な場面で見事に語られております。

  まず、創世記における人間の創造では、次のように描かれています。 「主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入 れられた。人はこうして生きる者となった。」(創世 2.7)

 ですから、ヨブ記では、はっきりと次のように説明しています。 「神の霊がわたしを造り、 全能者の息吹がわたしに命を与えたのだ。」(33.4) さらに油注がれて王になった人たちにおいて主の霊の働きが語られています。

 ちなみに、最後の士師サムエルは、初代の王サウルにまず油を注ぎました。

「主があなたに油を 注ぎ、ご自分のものである民の指導者とされたのです。」(サムエル記上 10.1)

 その後、サウルに主の霊が激しく降ったので、預言ができるようになったというのです。けれども、彼の晩年には、主の霊が彼から離れてしまい、悪霊が彼をさいなむようになったのであります。

 さらに預言者ヨエルは、神の救いが完成する 暁 あかつき には、すべての人々に神の霊が注がれ ることを、力強く告げています。

「その後(のち) わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。 あなたたちの息子や娘は預言し、 老人は夢を見、若者は幻を見る。 その日、わたしは 奴隷となっている男女にもわが霊を注ぐ。」(ヨエル 3.1-2)

 

 聖霊に満たされて

 次に、新約聖書で聖霊の働きについて詳しく報告しているのは、特に福音記者ルカであります。

  まず、イエスご自身に、聖霊が降れたことを、洗礼の場面で次のように描いています。 「民衆が皆洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来た。すると、『あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者』という声が、天から聞こえた。」(ルカ 3.21-22)

 さらに不思議なことに、聖霊の導きと同時になんと悪魔も働き始めたことが報告されています。

「さて、イエスは聖霊に満ちて、ヨルダン川からお帰りになった。そして、荒れ野の中を“霊”によって引き回され、四十日間、悪魔から誘惑を受けられた。」(同上 4.1-2)

 また、マリアの聖霊体験を、詳しく説明するのもルカであります。天使ガブリエルのお告げに、驚いたマリアに天使は、優しく語り掛けました。

「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。」(同上 1.35)

 さらに最初の殉教者のステファノが、殉教の最中聖霊に満たされていたことが報告されています。「ステファノは聖霊に満たされ、天を見つめ、神の栄光と神の右に立っておられるイエスを見て、『天か開いて、人の子が神の右に立っておられるのが見える』と言った。人々は大声で叫びながら耳を手でふさぎ、ステファノ目がけて一斉に襲いかかり、 都(みやこ) の外に引きずり出して石を投げ始めた。」(使徒 7.54-58)

 ちなみに、わたしたちが毎週ささげる主日のミサでは、第三奉献文を使っていますが、 「聖霊の奉献文」と言えるほど、ミサにおける聖霊の働きを強調しております。

「あなたにささげるこの供えものを、聖霊によってとうといものにしてください。御子わたしたちの主イエス・キリストの御からだと+御血になりますように。・・・ 御子キリストの御からだと御血によってわたしたちが養われ、その聖霊にみたされて、キリストのうちにあって一つのからだ、一つの心となりますように。 聖霊によってわたしたちがあなたにささげられた永遠の供えものとな り、・・・」と続きます。

 また、わたしたちは、聖霊降臨の主日のミサで歌う「聖霊の続唱」を 日々の祈りとしても唱えることができるのです。

「聖霊来てください あなたの光のかがやきで わたしたちを照らしてくださ い。貧しい人の父 心の光 あかしの力を注ぐ方 優しい心の友 さわやかな憩 ゆるぐことのないよりどころ 苦しむ時の慰め 恵み溢れる光 信じる者の心を満たす光よ

あなたの助けがなければ すべてははかなく消えてゆき だれも清く生きてはいけない・・・

あなたのことばを信じてより頼む者に とうとい力をさずけるかた

あなたはわたしのささえ 恵みの力で救いの道を歩みつづけ 終わりなく喜ぶことができますように。アーメン。